四弦亭日乗

先日、
馴染みの酒場に顔を出したら、
カウンターの隅で若いのと年増と男が二人で呑んでまして。

若いのは20代そこそこの青年。
年増の方は池部良を丸くしたような男盛り。


職場の同僚でもなく、
友達同士ってんでもなくて。

なんつうか、
あんまり酒場で見ない、
妙にたどたどしくも優しい雰囲気があるんですね。



なんとなく聞こえてくる話から察するに、
どうやら、この二人、親子でしてね。



良いなぁ、
オヤジとセガレが同じ酒場で呑んでるなんて。

呑み方も静かでね。
親父の方はやっぱりちょっと嬉しいのか、
饒舌でね。


やっぱり、良いなぁ、なんて思った次第なんです。




落語に「親子酒」という噺があります。


とある、
商家の大旦那と若旦那、
親子揃って大の呑兵衛。

倅があまりにも酒にまつわる失態が多いってんで、
親子が誓って断酒をします。

何日か経って、
セガレが商用で留守の晩。

親父さんが一杯だけならと........


と、まあ、文字通り、
酒好き親子の笑い噺。


志ん生に小さん、金原亭馬生師匠なんかが得意とする噺で、
短いので寄席でもよくかかる。


四弦亭は、
幸運な事に、現役最高齢噺家、なんと86歳！！
四代目三遊亭金馬師匠の「親子酒」を観ることができました。

もうね。
おっかしくて。
腹筋が千切れるんじゃないかってくらい笑いました。
名人芸ですね。
酔っぱらいやらせたら金馬師匠は最高です。



件の親子、
「親子酒」みたいなバカなことはないと思いますが、
ああいうシーンを見ちゃうと思いますね。

もっと早く、18くらいでガキこさえとくんっだったなって。



まぁ、独身なんですけど。

いい年して。

ついでに、下戸。


なんか、ダメだなぁオレって。


そんな秋の夜長でした。